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後遺障害による損害項目

後遺障害逸失利益 ライプニッツ係数

逸失利益の計算等における中間利息控除とは

中間利息控除の計算

たとえば、年収1000万円のAさんが事故に遭って重い障害を残し、以後10年間年間まったく働けないとします。
この場合、単純に考えれば、1000万円×10年間=1億円の逸失利益の賠償がなされるべき…ということになりそうです。

しかしながら、後遺障害が残った時点で、加害者が直ちにAさんに1億円を払わなければならないとすると、若干おかしなことになります。
何故なら、本来Aさんは10年間毎年1000万円を得るべきところ、いきなり「9年後の1000万円」や「10年後の1000万円」を手にすることができ、これらを定期預金なり国際なりで運用すれば、9年後、10年後にはある程度資産を増やすことができるからです。

従って、加害者のAさんに対する賠償額を決定するにあたっては、上記のような途中経過における利息の発生を見込んで、若干低めの賠償額とする必要があるとされているわけです。
このような、「途中期間における利息を差し引く」という問題のことを「中間利息の控除」と呼んでおります。

ライプニッツ式とホフマン式

「中間利息控除」に関して、赤い本では

とされています。

つまり、上記のAさんが加害者から賠償金を受け取る場合、その金額を受け取った後「年5パーセント」で運用できるという設定で、そのような利息を差し引いた価額の賠償を受けるということになります。

その方式については、かつて東京地裁と大阪地裁で異なり、東西で格差が生じているとされていましたが、平成11年11月22日の三地方裁判所(東京、大阪、名古屋)の共同提言により、複利で計算を行うライプニッツ係数が採用されることとなり、現在に至っています。

なお、ライプニッツ係数により逸失利益を計算する場合の、年数と係数をまとめた表として「年金現価表」というものが用いられています。
ライプニッツ係数(年金現価表)については下記の表をご覧ください。

労働能力喪失期間ライプニッツ係数労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.952425年14.0939
2年1.859426年14.3752
3年2.723227年14.6430
4年3.546028年14.8981
5年4.329529年15.1411
6年5.075730年15.3725
7年5.786431年15.5928
8年6.463232年15.8027
9年7.107833年16.0025
10年7.721734年16.1929
11年8.306435年16.3742
12年8.863336年16.5469
13年9.393637年16.7113
14年9.898638年16.8679
15年10.379739年17.0170
16年10.837840年17.1591
17年11.274141年17.2944
18年11.689642年17.4232
19年12.085343年17.5459
20年12.462244年17.6628
21年12.821245年17.7741
22年13.163046年17.8801
23年13.488647年17.9810
24年13.7986

たとえば、10年という期間に対するライプニッツ係数は「7.7217」となりますので、冒頭のAさんが得られるお金は
1000万円 × 7.7217 = 7721万7000円
となります。

裁判所方式の不当性と民法改正

中間利息控除の計算

上記のような実務の運用については、「馬鹿げている」と思われる方も居られるでしょう。
昨今の金利事情に鑑みれば、「10年後に貰うべき1000万円」を今貰ったところで、それを5パーセント複利で運用することなど到底不可能だからです。
Aさんは、現時点で7721万7000円を貰っても、それを10年後までに1億円に増やすなどはとうてい無理なので(※)、気の毒だというわけです。

しかしながら、上記の「中間利息控除5パーセント」を前提とする運用については、最高裁判所平成17年6月14日判決(判例タイムズ1175号109頁)により既に確定してしまっており、変更は見込みません。
その根拠は、契約上利息の定めがない場合等の民事法定利率が5パーセントと定めてある(民法第404条)ということにありますが、結論が非常に不当であることから、強い批判を浴びているところです。

ところで、近時、民法改正案が国会に提出(平成27年3月31日)されておりますが、その第404条では法定金利について差し当たり年3パーセントとし、その後の金利推移により3年ごとに変動させる旨が規定されています。
このような改正案が国会で可決されれば、ライプニッツ係数の計算も全く異なってくることになると思われ、今後の動向を注目する必要があります(※2)。

※1 株式や投資信託で運用すれば、年5パーセント増やせる可能性もありますが、逆に大損する可能性もあり、確実性がありません。

※2 この記事は平成28年5月時点で執筆しています。

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